多くの人が防犯対策において、設定の失敗や導入後の後悔を恐れて、なかなか新しいツールに手を出せずにいます。特に、大切な家族や高齢者のスマホを守るとなると、料金や操作の難しさがネックになりがちです。
しかし、もし警視庁が開発した無料のアプリで、しかも簡単な設定だけで詐欺電話を自動でブロックできるとしたらどうでしょうか。この記事では、デジポリスの使い方というキーワードで検索されている方に向けて、プロの視点からその効果と手順をわかりやすく解説します。

記事のポイント
- 警視庁が提供する信頼性の高いデータベースを活用したブロック機能の仕組み
- AndroidとiPhoneで異なる利用可能な機能の範囲とそれぞれの対策
- 国際電話を利用した最新の詐欺手口とその回避方法
- 家族のスマホを守るための具体的なインストールと設定のステップ
警視庁公認アプリ「デジポリス」の使い方が最強の防犯対策と言われる理由
- デジポリスの使い方が注目される背景と無料の理由
- iPhoneとAndroidで使える機能の決定的な違い
- 知っておくべき「国際レベニューシェア詐欺」の脅威
デジポリスの使い方が注目される背景と無料の理由

急増する国際電話詐欺への対抗策
昨今、私たちのスマートフォンには「+1」や「+44」など、「+」から始まる見知らぬ国際電話がかかってくることが急増しています。これらは単なる間違い電話ではなく、組織的な詐欺グループによる無差別な攻撃であるケースがほとんどです。日常生活の中で突然、聞き慣れない外国語や自動音声の電話がかかってくれば、誰でも不安を感じるものです。こうした状況下で、市民の安全を守るために警視庁が満を持してアップデートを行ったのが防犯アプリ「デジポリス」です。
東京都民だけのものから全国のスタンダードへ
本来、このアプリは東京都民向けに地域の不審者情報や防犯マップ、痴漢撃退ブザー機能などを提供する地域密着型のツールでした。しかし、詐欺電話の被害が特定の地域だけでなく全国規模で拡大している深刻な状況を受け、令和7年12月のアップデートで新たな機能として「詐欺電話ブロック機能」が搭載されました。これにより、居住地に関わらず、すべてのスマートフォンユーザーが詐欺対策の恩恵を受けられるようになりました。
なぜ高機能なのに「完全無料」なのか
私が長年IT業界に身を置く中で見てきた多くのセキュリティアプリや迷惑電話対策サービスは、高度なブロック機能やデータベース参照機能を使おうとすると、月額数百円程度のサブスクリプション料金が発生するのが常でした。しかし、デジポリスは運営母体が警視庁、つまり私たちの税金で運用されている公的なプロジェクトです。そのため、営利を目的とせず、すべての機能を完全無料で利用できるのです。これは、毎月の固定費を増やしたくない、コストを気にするユーザーにとって非常に大きなメリットと言えます。
「生きたデータベース」がもたらす信頼性
また、機能面で特筆すべきは情報の質です。民間のアプリも独自のデータベースを持っていますが、デジポリスは警察組織が実際に受理した相談や捜査で得られた「生きたブラックリスト(詐欺番号データベース)」を直接参照しています。犯罪に使用された電話番号の情報がいち早く反映されるため、情報の鮮度や精度において、これ以上のソースはないと言っても過言ではありません。公的機関が保証する安心感は、何物にも代えがたい価値があります。
iPhoneとAndroidで使える機能の決定的な違い

導入前に知っておくべきOSの壁
デジポリスを導入する際、最も注意が必要であり、かつ多くのユーザーが疑問に思う点がOSによる機能差です。お使いのスマートフォンがiPhoneかAndroidかによって、利用できる防犯機能のレベルが大きく異なります。結論から申し上げますと、Androidユーザーはこのアプリの恩恵を100%受けられ、最強の防犯環境を構築できますが、iPhoneユーザーにはOSの仕様上、一定の制約が存在します。
Android版で可能なこと:システムレベルでの鉄壁防御
AndroidはOSの設計が比較的オープンであり、ユーザーが許可すればアプリがシステムの中枢機能に介入することが可能です。そのため、デジポリスは以下のような鉄壁の守りを構築できます。
- 既知の詐欺番号ブロック: 警察が把握しているブラックリスト内の番号からの着信を、鳴動させることなく完全ブロックします。
- 国際電話の一律ブロック: 詐欺電話の約8割を占めるとされる「国際電話」を一括で遮断できます。海外とのやり取りがない方には最強の機能です。
- 発信ブロック(誤発信防止): これが非常に画期的です。詐欺番号への「発信(折り返し)」自体をシステムがブロックします。子供や高齢者が着信履歴を見て、うっかりかけ直そうとしても電話がつながらないため、物理的に被害を防ぐことができます。
- 着信履歴の自動削除: 詐欺番号からの着信履歴そのものを消去し、目につかないようにします。
iPhone版での制約:Appleのセキュリティポリシー
一方でiPhoneは、Appleによるプライバシー保護とセキュリティポリシーが非常に厳格です。サンドボックス構造と呼ばれる仕組みにより、一つのアプリが電話機能全体を制御したり、他のアプリのデータ(着信履歴など)を勝手に操作したりすることが厳しく制限されています。そのため、アプリ開発者が自由に電話機能を制御することが許されていません。
- 利用できる機能: 基本的に「警察が把握している詐欺番号のブロック」のみとなります。
- 利用できない機能: 国際電話だけを選んで一括ブロックしたり、ユーザーが発信するのを止めたりすることはできません。
iPhoneユーザーの次善の策
iPhoneユーザーがより強固な対策をする場合、iOS標準機能である「不明な発信者を消音」を併用することが推奨されています。ただし、これをオンにすると、役所や病院、配送業者、就職活動中の企業など、連絡先に登録していない重要な相手からの電話も通知されなくなるリスクがあります。そのため、ご自身のライフスタイルに合わせて慎重に運用する必要があります。
知っておくべき「国際レベニューシェア詐欺」の脅威

「ワン切り」の裏にある巧妙な罠
なぜ今、これほどまでに国際電話のブロックが推奨されるのでしょうか。その背景には「国際レベニューシェア詐欺(別名:国際ワン切り詐欺)」という極めて悪質な手口が存在します。この手口は、単に電話をかけてくるだけでなく、私たちの心理を巧みに利用してお金を奪い取ろうとします。
詐欺の具体的なメカニズム
以前、私の知人が「NTT未納料金」という名目の自動音声ガイダンスに従って操作をしてしまったことがありました。この手口の恐ろしいところは、以下のプロセスで進行します。
- 着信: 犯人は海外の番号から「ワン切り」や短いコールを行います。目的は通話することではなく、あなたのスマホに「着信履歴」を残すことです。
- 折り返し: 履歴を見た人が「大切な電話かも?」と思い、折り返し電話をかけます。
- 課金開始: 電話がつながると、「利用料金未納のため…」等の自動音声が流れ、「詳細を聞くには1を押してください」などと誘導されます。そして、この接続先が「国際プレミアムダイヤル」になっているのです。
- 高額請求: つながった瞬間、あるいはボタンを押した瞬間から、1分間で数千円という法外な通話料が発生します。
キャリア決済の盲点
この詐欺の最大の問題点は、奪われるのが「現金」や「振込」ではなく「通話料」であることです。請求は翌月以降、auやdocomo、SoftBankなどの通信キャリアから携帯電話料金と合算して請求されます。
多くの人は毎月の通話料明細を細かく確認していません。そのため、口座から引き落とされた後に高額請求に気づくことになります。そして、キャリアに異議を申し立てても、「実際に通話が行われた事実」がある以上、支払い拒否が難しく、お金を取り戻すことは極めて困難です。
アプリによる「物理的遮断」の重要性
デジポリス(特にAndroid版)が提供する「国際電話の一括ブロック」や「発信ブロック」は、こうした人間の心理的な隙や「うっかり」による被害を、テクノロジーで物理的に防ぐための機能です。「怪しい電話には出ない」という心がけだけでは防ぎきれないリスクを、システムがカバーしてくれるのです。
【完全ガイド】スマホ機種別に見るデジポリスの使い道と詳しい設定手順
- Androidユーザー向け:鉄壁の守りを構築する設定ステップ
- iPhoneユーザー向け:制限の中で最大限の効果を出す設定ステップ
- 導入後の注意点と家族を守るための運用ルール
Androidユーザー向け:鉄壁の守りを構築する設定ステップ

Android端末をお持ちの方は、デジポリスの機能をフル活用することで、現時点で考えうる最強クラスの電話セキュリティを手に入れることができます。以下の手順に従って設定を行いましょう。所要時間は5分程度です。
ステップ1:インストールと初期セットアップ
まず、Google Playストアから「デジポリス」を検索してインストールしてください。
アプリを初めて起動すると、居住地域や年齢などのアンケート画面が表示されます。これは東京都民向けの防犯情報配信のためのものですので、都民以外の方や、純粋に電話ブロック機能だけを使いたい方は、何も入力せずに「次へ」や「始める」をタップしてスキップして構いません。また、位置情報の権限についても、防犯マップ機能を使わないのであれば「許可しない」を選択しても問題ありません。
ステップ2:電話機能の権限付与
アプリのトップ画面が表示されたら、画面右上にある「電話マーク」を確認してください。初期状態では「OFF」になっているはずです。ここをタップすると利用規約が表示されるので、内容を確認して同意します。
次に、Androidシステムから「デフォルトの電話アプリ(発信者番号通知・スパムアプリ)」としてデジポリスを使用する許可を求められます。ここで必ず「デジポリス」を選択し、「デフォルトに設定」をタップしてください。これにより、標準の電話アプリの代わりにデジポリスが着信を監視できるようになります。
ステップ3:各ブロック機能のカスタマイズ
設定画面に入ったら、以下の項目を順番に設定します。
- 着信ブロック: タップして「ON」にします。これで警察データベースにある番号がブロックされます。
- 発信ブロック: 同様に「ON」にします。これで危険な番号への発信が防げます。
- 着信履歴を削除: これを「ON」にして権限を許可すると、ブロックした番号の履歴が自動で消去され、精神衛生上も安心です。
- 国際電話ブロック: Android版の最大の強みです。海外からの電話を受ける予定がない方は、迷わず設定を有効にしてください。
ステップ4:必要な番号の除外設定
もし海外に家族や友人がいて、国際電話を受ける可能性がある場合は、「連絡先をブロック対象から除外」機能を必ず「ON」にしてください。そして、その知人の電話番号をスマホの「連絡先」アプリに登録しておけば、その番号だけはブロックされずに通常通り着信します。
すべての設定が完了したらトップ画面に戻り、電話マークが緑色の「ON」になっていることを確認してください。これで設定は完了です。
iPhoneユーザー向け:制限の中で最大限の効果を出す設定ステップ

iPhoneユーザーの場合、Androidほど自由な設定はできませんが、正しい手順で設定することでセキュリティレベルを確実に引き上げることができます。
ステップ1:アプリ側の設定
App Storeから「デジポリス」をインストールします。起動後、トップ画面右上の電話マークをタップし、利用規約に同意します。iPhone版では、この時点でアプリ内での操作はほぼ完了です。ここからはiOS側の設定に移ります。
ステップ2:iOS設定での連携
iPhoneのホーム画面に戻り、「設定」アプリ(歯車アイコン)を開きます。メニューを下にスクロールして「電話」を選択し、その中の「着信拒否設定と着信ID」という項目をタップします。
ステップ3:ブロック機能の有効化
「着信ID提供App」の一覧に「デジポリス」が表示されているはずですので、その横にあるスイッチをタップしてオン(緑色)にします。
もし、「電話帳ナビ」やキャリアが提供する「迷惑電話ブロック」など、他の対策アプリをすでに使用している場合でも、心配はいりません。iPhoneでは複数の着信IDアプリを同時に有効化でき、それぞれのデータベースを併用することが可能です。両方オンにしておくことで、データベースの抜け漏れを相互に補完し、防御率を高めることができます。
ステップ4:消音機能との併用判断
iPhoneでは国際電話の一括ブロックができません。もし、知らない番号からの着信を一切鳴らしたくないという強い希望がある場合は、iOSの設定「電話」にある「不明な発信者を消音」機能をオンにすることを検討してください。
注意点: この機能をオンにすると、「連絡先に登録されていない番号」からの着信はすべて着信音が鳴らず、直接留守番電話センターに転送されます。重要な役所からの電話、医療機関からの緊急連絡、配送業者のドライバーからの電話なども気づけなくなる可能性があります。ご自身の生活状況とリスクを天秤にかけ、慎重に判断してください。
導入後の注意点と家族を守るための運用ルール

デジポリスを導入することで、既知の詐欺番号や多くの国際電話詐欺をシャットアウトできます。しかし、セキュリティに「絶対」はありません。テクノロジーで防げない部分を、私たちの知識と運用ルールで補う必要があります。
「いたちごっこ」の現実とスプーフィング
詐欺グループは、常に新しい電話番号(飛ばし携帯など)を大量に調達し続けています。警察のデータベースへの登録にはどうしてもタイムラグが発生するため、今日使われ始めたばかりの「おろしたての詐欺番号」からの着信は、デジポリスであってもすり抜けてくる可能性があります。
また、最近では「スプーフィング(発信者番号偽装)」という技術が悪用されています。これは、実際には海外や別の場所からかけているにもかかわらず、受信者のスマホ画面には「〇〇警察署」や実在する公的機関の電話番号を表示させる手口です。画面の表示を過信せず、「警察がいきなり電話でお金の話をすることはない」という基本を忘れないでください。
家族を守るための「プレゼント」として
このアプリの真価は、ITリテラシーが高く、この記事を読んでいるあなたが使うこと以上に、離れて暮らす両親や、初めてスマホを持った子供の端末に入れてあげることにあります。
高齢者は「警察」や「NTT」を名乗る電話に対して、疑うよりも先に話を信じてしまいがちです。また、子供は好奇心から未知の番号にかけ直してしまうリスクがあります。
「無料だし、警視庁の公式アプリだから安心だよ」と伝えて、帰省のタイミングなどでインストールしてあげてください。初期設定さえ済ませておけば、あとはアプリが自動で家族を守ってくれます。これこそが、家族全体の資産と安全を守るための、最も効果的で愛情のあるプレゼントになるはずです。
まとめ

この記事では、警視庁が提供する「デジポリス」を活用した詐欺電話対策について詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントを整理します。
- 警視庁が開発した「デジポリス」は完全無料で使える強力な防犯アプリ
- 公的資金で運用されているため、課金なしでフル機能が利用可能
- Android版は国際電話の一括ブロックや発信規制など非常に高機能
- iPhone版は機能制限があるため「着信拒否設定」での連携が基本
- 詐欺電話の多くは「+」から始まる国際電話を利用している
- 「国際ワン切り詐欺」は折り返しただけで高額請求のリスクがある
- キャリア決済で請求されるため、一度被害に遭うと返金が困難
- 詐欺グループは「スプーフィング」で警察の番号を偽装することもある
- アプリのデータは警察の情報を基にしているため信頼性が高い
- Android設定では「デフォルトの電話アプリ」として権限を与える必要がある
- iPhone設定では「不明な発信者を消音」との併用を慎重に検討する
- 家族や高齢者のスマホにこそ導入すべき必須のセキュリティ対策である
- 海外に知人がいる場合はブロック除外の設定を忘れない
- 「NTT」や「法的措置」という自動音声は詐欺の典型例と心得る
- 今すぐ家族に共有し、被害を未然に防ぐ行動を起こすべき
